やる気が無い主婦の日記

明日から本気出す

誉め殺しという言葉をリアルに体感した話

夜中に食べるカントリーマアムうめえ~~~カントリーマアムってめっちゃ美味しいよね。昔、カントリーマアム美味しいからって食べ過ぎて気持ち悪くなったせいで一時期カントリーマアム大嫌いになって食べられなくなったんだけど、それで思い出した話です。カントリーマアムは一切出てこないです。

 

私の友人でめちゃくちゃ相手のことを誉める人がいた。

十年くらい前に知り合ったんだけど、最初、なんて人当たりのいい人なんだろう!って驚いたくらい穏やかで控えめで菩薩的なオーラを放っていた。そして、会うたびに私のことをべらぼうに誉めてくれた。

 

「てつこちゃんってかわいいよね~」

「今日もおしゃれ~」

姉から「笑顔が山崎邦正に似てるね!」と言われて育った私は容姿を誉められると単純に嬉しかった。いい人だなと思った。

 

 

「はぁ~さすが言うことが違うね~」

「尊敬~」

「こんな人っているんだ~」

とにかくなんでも誉めるポイントを見つけてきてくれる。若干冷や汗をかきながらも誉め上手なんだな…と思った。承認欲求が満たされた気持ち良さみたいなものもあったかもしれない。怪しい宗教に入っていたりとか何らかの勧誘をしてくることもない。ただのいい人。大丈夫、大丈夫。

 

「センスある人は違うわ~」

「言うことがおもしろすぎる~」

「すごーいそんなこと知ってるんだ~博識~」

だんだん会ったあとにぐったり疲れるようになってきた。

 

まず、誉め言葉をレシーブするのがめんどくさい。頻度が高すぎる。いい女風に「ありがとう」で全て済ませたいんだけど、実際はついつい「何言ってるの~」みたいな日本人的謙遜をしてしまい、3分に一回くらいは誉めてくるから作業量が多くてしんどい。

 

あと単純にバカにされてる気がする。一つ一つは良くあるお世辞だけどそれを全部並べてみると身も蓋も無さすぎてものすごいバカにされてる気がしてくる。お前のようなどうしようも無い人間でもこれだけ誉めるスキルを持っていますよ!という特技を見せられている気持ちになってくる。

 

 

 

一度、彼女に対し何の気なしに「☆ちゃんってこの女優さんに似てるよね」と割とリアルに似ている人(爽やかな美人)をあげたところ、なんだか慌て始めた。

すごくしどろもどろな感じで否定し、謙遜し、困惑していた。そうか、彼女は自分が誉め言葉をレシーブするのは慣れていないのだ。そういえば、あまりにも矢継ぎ早に誉めてくるのでこっちが誉める隙をあまり与えられていなかった。

 

態勢を立て直した彼女は、こう言い放った。「そんなことより、てつこちゃんって松下奈緒に似てない?」

え………?

は???

 

完全にこれはあれだ。誉め言葉ではなくお前がそんなこと言ってくるならこっちだってこんな攻撃できるぜ!という反撃だ。そう、これはもはや戦いだったのだ。

ちなみに私は松下奈緒には全く似ていない。謙遜とかではなく、誰が見ても全く違うタイプの顔なのだ。ジャンルそのものが違う。前述の通り山崎邦正の方がよっぽど似ている。


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この辺りから私は完全に彼女の誉め言葉に恐怖を抱き始めた。

 

もともと、あまりにも邪気が無さすぎて今までの友達には全くいないタイプではあったが、その頃私は何故か「いつも同じような人とつるんでいたら視野が狭くなる!今まで話したことがないような人とも話してみなければ…」と謎に意識が高まっていた時期だったので、それでも彼女との交流は続いていた。

 

 

決定的なことがあったのはこの日だ。

いつも通りこれでもかと言うくらい誉めてきたので、私はいつもと同じようなラリーを続けるのがしんどくなって、ちょっと違う返しをした。何て言ったかは忘れた。とにかくこの気持ち悪い流れを止めたくて何かを言った。

すると「ねえ、その返しすごい!そんな返し方できる人いないよ~っ!!すごくセンスがある~!!」みたいなことを言われた。

そこで私は突然息ができなくて溺れそうになってしまった。誉められたことに対する返しを誉められる。一言何か言う度に誉められる。私が次に発する言葉もたぶん誉められてしまうのだ。と思うと怖くて何も言えない。苦しい…殺される……ハッ…これが誉め殺しってやつか……

 

息も絶え絶えになって帰り、以来少し距離をおいている。

 

それだけの話です。おしまい。